ミルラの精油

ミルラもフランキンセンスと同じカンラン科。コミフォラ属の小さなとげがたくさんある、樹高3~5mの低木です。Commiphora myrrhaの原産地はソマリア、オマーン、イエメン、エチオピア、そしてサウジアラビアの一部。

樹木を傷つけ、樹皮を貫通して辺材に達すると、樹木は樹脂を分泌します。樹脂はワックス状ですぐに凝固し、繰り返し傷つけることにより収穫されます。収穫後の樹脂は淡黄色で光沢がありますが、しだいに黒ずみ、赤褐色に変化します。

古代エジプト第5王朝のサフラー王が、現在のアフリカの角、ソマリアのプント地方に遠征し、大量のミルラ、フランキンセンス、マラカイト、などを持ち帰ったことが記録されています。その後宮殿の庭にミルラの木が植えられ、ミルラはミイラの防腐処理のために使用されました。

さらにうがい薬や歯痛の鎮痛剤、あざや捻挫の塗り薬、切り傷や皮膚疾患の塗布剤や治癒軟膏など、さまざまな用途の薬として使われたとされています。

また、ミルラ精油は旧約聖書の中で特別な珍しい香水と記され、『聖なる油』として祭壇に備えられ、礼拝では重要な供え物でした。

ミルラ精油の構成成分はセスキテルペン類がほとんどを占め、重厚で深い香りが特徴です。日本語では没薬(もつやく)といい、‘没’には‘苦い’という意味があるとおり、樹脂特有の甘みの中に、薬のような苦みとスパイスのような辛みを感じます。ベースノートの持続的で安定した香りは、気持ちを安定させ、安心感をもたらします。

とはいっても、アロマセラピストに聞くと、なぜか「持っているけど、なかなか使わない・なかなか減らない」精油のひとつ。そんなミルラの精油を使いこなすポイントはブレンド!

同じく甘みや暖かみのあるスイートオレンジの精油とブレンドすると、香りが深まり、持続性も高まります。ラベンダーやゼラニウムなどのフローラル系の精油とも相性抜群。華やかさが増し、高貴な香りに。また同じ樹脂であるフランキンセンスの精油との組み合わせも相性がよく、瞑想時のブレンドに最適です。

長く香らせたい芳香浴のブレンドやアロマオイル・クリームなど、スキンケアのブレンドにお勧めのミルラ精油。深い香りを作り出すために、ぜひ貴重な1滴を加えてみてください。